「愛を読むひと」を見た。
ストーリーを一言で語れない映画だ。
だが、小難しくて面白くないかと言えば、そうではない。
ネタバレを承知で、この映画の断片と感想を書く。
舞台は第二次大戦下のドイツ。
一人の少年が年上の女性と知りあい、性に目覚めていく。
この年上の女性は戦時中ナチス協力者としてユダヤ人収容所の看守だった。
そして戦後、裁判となり無期懲役刑となる。
少年は彼女に本を読んで聞かせた思い出があった。
彼女は「本を読むより、読んでもらうのが好き」と言ってた事を思い出し、
本を読んでテープに収め、服役中の彼女に贈る。
これが「愛を読むひと」というタイトルになる。
映画の最後、出所間近の彼女を少年が訪ねる。
この再会シーンの彼女の笑顔が涙を誘う。
しかし、彼女は自殺を選択する。
自殺という形での決着。
これをドイツ人の罪の意識と呼ぶのか…重たいテーマだ。
何故、文盲をかくしたのか…
収容所の看守というのは、誰をガス室に送るかの書類を書き、自ら署名する立場にある。
だから文字を読み書きできる必要がある。
当然「自分は文盲だから書類を書いていない」と主張する事も出来るのである。
しかし、彼女は文盲を隠し通した。
もし命令書を書いたのは誰かと問題になるとその人が罪を問われる。
そうならないように彼女は文盲を隠した。
…死んだ人は戻らない。
罪を被り、死刑になるのは自分だけで良いと思っていたに違いない…。